高齢者に運動を促すことも介護士の重要な業務です。施設ではさまざまなプログラムが組まれ、体に良い体操やゲーム形式の運動をしています。しかし、在宅介護の場合、それもままならないことが多いのです。介護士の仕事として、利用者だけではなく家族とも関わり合いをもたなければなりません。特に在宅介護の場合は、訪問看護、ソーシャルワーカーなどともやり取りが必要になってきます。
日本の基準値として、フレイル(足の筋肉が加齢によって衰えること)やサルコペニア(要介護の一歩手前)の予防に歩行することを推奨しています。歩くことで足の裏に刺激があたえられ、筋肉を動かすことがうつ病や痴ほう症などの神経疾患にも作用することがわかっています。高齢者の運動を促すには、いくつかのコツがあります。歩行介助を例にして説明します。運動を促す時は、高齢者さんが体を動かそうとしているのを妨げないことです。歩行なら、歩いている先を邪魔しない、行きたい方向に行かせてあげるのがコツです。
もう1つのコツは、歩行者のペースに合わせることです。相手を急がせたり、遅い・早いというのは歩行者もモチベーションを下げるばかりか、焦って足がもつれると怪我のもとにもなりかねません。歩幅、歩くスピード、これらは歩行者のできる範囲で歩いてみるのが一番です。最後は、歩行者の斜め後ろに待機することです。視界にはいると集中力がなくなりますし、歩行の妨げにもなるからです。